犬の気持ちを読み取る「カーミングシグナル」
カーミング・シグナルとは、ペット・ドッグ・トレーナーズ・オブ・ヨーロッパの創設メンバーであるトゥーリッド・ルーガス氏(Turid Rugaa)が確立した行動心理学の理論です。
カーミング・シグナルを訳すと、「カーミング」は落ち着く(Calming)という意味で、「シグナル」は信号(Signal)という意味になります。
カーミング・シグナルはどういうときに行うか?
カーミングシグナルは、犬が、他の犬や飼い主など自分以外のストレスを感じた時、または自分自身にストレスを感じた時にみられます。
自分自身を落ち着かせるために、または 他の犬に敵意がないことを知らせたり、意思表示をするために送る信号で、
無駄な争いなどに発展しないように、「わたしはリラックスしています」や「あなたに敵意はありません」などという意思表示を送っています。
カーミング・シグナルの種類
カーミング・シグナルは次のような種類があります。
・顔をそむける、目をそらす
喜びの高揚を抑えようとして、気持ちを落ち着かせようとしています。
・目を細める
自分自身に注目してほしくないときに目を細めます。
・鼻をなめる、口の周りをなめる
飼い主や知っている相手にするときは、喜びを示している。
知らない犬などを相手にするときは、ストレスを感じており、緊張をほぐそうとしている。
相手に敵意がないことを送っている意味もある。
食事をあげる時に口の周りをなめているのは、喜びの表れ。
・地面を嗅ぐ
他の犬や相手が接近してきた時に、敵意がないことを示すために行う。
気持ちを落ち着かせようとしている。
・体をそらす
犬同士が接近した時や人間に接近した時、
自分自身の脇腹を相手に見せることによって、敵意がないことを示しています。
・座る、伏せをするなどフリーズする
明確に相手に対して争う気持ちがないことを示しています。
・プレイバウ
プレイバウとは、前脚を伸ばしてお尻を上げるポーズです。
遊びに誘っており、相手に敵意がないことを示しています。
・しっぽを振る
尻尾の振り方で、いくつかの気持ちを表しています。
左右にゆっくり振る⇒相手に好意があり、信頼や信用を示しています。
激しく振っている⇒喜びを感じているときと激しく興奮しているときがあります。
尻尾を上方向へ立てている⇒相手に対して、警戒や注意を示しています。
尻尾を股の間に入れるように下げる⇒不安や怯えを感じています。
・あくびをする
眠気が襲うとき以外に、苦手な状況やしつこい干渉に対してストレスを感じるときもあくびをする。
自分自身を落ち着かせようとしている。
・ゆっくりと歩く、ゆっくりとした動作をする
相手に敵意があるか確認しており、
ゆっくりと動きながら、相手からのシグナルを待っている。
相手からの敵意がないことが示されない場合や明確なシグナルが受け取れない場合は、相手に近づこうとしない。
・弧を描くように対象を避ける
争う意思がなく、相手に敵意がないことを示している。
・間に割って入る
知らない相手と知っている犬や飼い主などの間に入るのは、
相手が違う群れであるので注意するように警告していることを示しています。
・鼻を持ち上げる
上を向いて匂いを嗅ぐしぐさは、相手に敵意をないことを示し、相手を落ち着かせようとしています。
相手が人間の場合は、何かして欲しいと要求していることがほとんどです。
・前足を上げる
警戒するような相手に出会ったときや、緊張する相手に対して敵意がないことを示しているときに前足を上げます。
・口元を後ろへ引く
緊張している。相手に敵意がないことを示している。
・口を開いたり閉じたりパクパクする
興奮した気持ちを抑える時や、自分自身の嫌がる気持ちを抑えようとしている。
・おしっこをする
犬を相手におしっこしたときは、相手に友好の気持ちを示している。
人間相手におしっこしたときは、相手に対して完全に信頼していることを示している。
・そっぽを向く
興奮している相手を落ち着かせたいと思っていたり、相手に敵意がないことを示している。
・転移行動
ある行動を叱られて実行できなかったときに、別の行動をすることでエネルギーを発散させようとしている。
・背中を向ける
興奮している相手を落ち着かせようと、強い態度で示そうとしています。
・子供のように振る舞う
自分自身に注目を集め、相手に関心をもってほしいときにします。
・体をふるわせる
今の状況にストレスを感じていて、嫌な気持ちを示している。
また自分自身の気持ちを落ち着かせようとしている。